最近の傾向


審美的な改善を要求する主訴の場合、保険治療で対応することは本来できません。あくまでも、保険治療は疾病、機能障害に対する回復のためだからです。
 審美的な要求は色だけでなく形をほかの歯との調和を考え、さらに機能も与える事になるのでより、シビアな施術になります。作る側もより緊張します。

 時には仮歯の段階が1ヶ月あるいは2ヶ月にわたることもあります。

「急いては事をし損じる。」

まさにこの言葉が当てはまります。患者さんは確かに最終的な補綴物のセットを早く望まれます。でも、仮歯という物は最終補綴物のイメージをわかせるため、補綴物の周囲歯肉のコントロール、あごの運動の調和を考慮するためには、できるだけ長く仮歯の状態であったほうがよいと思います。セラミックの冠を被せる時には周囲からかなりの歯質を切削します。それは歯と同じような色をセラミックで出すためには必要な量があるからです。ですが、むし歯の進行がひどく歯髄を保存できない場合、あるいは歯の傾斜、形態を変更するために切削量が多くなり歯髄にダメージが出る場合以外、できるだけ歯髄は保存したいと考えます。その方が歯のためにはよいからです。ただ、切削をすると歯髄への刺激が強くなり、しみやすくなります。でも、時間が経過すると歯髄の中に第2象牙質という新しく歯髄を保護する組織が生成されます。それを待ちます。その生成を待ちながら型を取る歯の形を作ります。

当院で行っている審美的な治療方法で最近増えているのはE-maxの冠、インレーです。それとジルコニアセラミックです。

キーワードは「メタルフリー」です。

以前から行われていた「陶材用着鋳造冠」は表面はセラミックですが、ベースの部分は貴金属です。ですから、微妙に金属が見えます。カラーレス(唇面だけ金属を見せない方法)もありますが、すべての症例に対して応用が利くとは思えません。E-maxは一度ワックスで冠の形態を作りそれをセラミックに置き換える方法です。

当院でも以前より扱っているジルコニアセラミックですが、ジルコニアそのものは金属に分類されます。ですが、色が白いためぱっとみて「金属」とは認識できません。審美領域はもちろんのこと臼歯部のブリッジにはベースの部分をより強固に作るためジルコニアセラミックで製作します。

 
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